高橋ゆき
(株)ベアーズの取締役副社長であり、家事研究家としても活躍。家事のテクニックを紹介するコラム『家事研究家・高橋ゆきのプロのスマート家事lesson』(全10回)を「阪神ナウ!」で連載スタート。
夫とともに家事代行サービスを始めたきっかけは、私の原体験にあります。約20年前、香港で仕事をしていた時に第一子を妊娠したのですが、仕事仲間に迷惑をかけるかもしれないと、言い出せずにいました。ところが、社長は「子どもはみんなで育てるから、今までの2倍働き、4倍の成果をだそう」と激励してくれたのです。そして、香港ではメイドさんを雇う習慣があることを教えてくれました。最初はさぼっているようで気が引けたのですが、香港の風習に習って一人の女性を雇うことに。彼女は頼りになる子育て経験者。子育ての秘訣を教えてくれたり、精神的にも支えてくれた家族のような存在でした。メイドさんは、仕事と家事の両立を実現する“ライフパートナー”なんだと実感したのです。
その後日本への帰国が決まり、同時に第二子を授かりましたが、日本には香港のようなサービスはありません。家政婦さんはいましたが、利用するのは一部の富裕層だけです。仕事、育児、家事を一人でするうちに気持ちの余裕がなくなり、笑顔でいることが減りました。ある日、夫から「お前ブスになったな」と言われて(笑)。仕事と家事の両立に悩んでいることを伝えると、夫は「気軽に利用できるメイドサービスがないなら、僕らで創ろう!」と、すぐに家事代行サービス『ベアーズ』を起業しました。
家事代行サービスの習慣がない日本において、“他人を自宅に入れる”というお客さまの不安を考え、現場スタッフである“ベアーズレディー”の教育に全力を注ぎました。また、手軽な家事代行サービスにしたいと考えてきましたから、お客さまの声から生まれたプランが多いのです。当初のご利用は共働き世帯が7〜8割でしたが、3〜4年ほど前から共働き世帯が半分、残りは専業主婦や単身者、シニアとお客さまの層が広がってきました。サービスを利用することで、時間だけでなく心のゆとりができるようになったと喜んでいただいています。みなさんに笑顔が増えることが、本当にうれしいですね。
神戸から梅田、難波など関西の中心地をつないでいる阪神電車には、都会でがんばっている女性がたくさんいます。仕事や育児をがんばっているからこそ、たまにはゆっくりしてほしい。家事代行サービスで、そんな女性たちの手助けをしたいんです。このサービスでみなさんの癒しの時間と空間をつくり、今よりもっとイキイキと輝くきっかけになることを願っています。