今回のCheer*full Womanインタビューでご紹介するのは、50年以上現役保育士として活動されている、乳幼児教室「コドモミライズ」代表の蒲田節子(かまたせつこ)さんです。
長年保育の現場で培った経験や知識を社会に還元したいと、コロナ禍まっただ中の昨年7月、モンテッソーリ教育を主軸とした、子供のための遊び場・学び場を設立。そんな蒲田さんの想いをお聞きしました。
「コドモミライズ」で育てる、子供たち自身の力

私と一緒に教えている2人の先生も長く保育に関わっておられる方で、私を含め3人とも公立保育所の所長経験があるんですね。その経験や知識・技術を社会に還元したいと考え、昨年7月、モンテッソーリ教育を主軸にした乳幼児教室「コドモミライズ」をスタートしました。

モンテッソーリ教育はマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツや、Googleの共同創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ、Amazonの創業者ジェフ・ベゾス、元アメリカ大統領のバラク・オバマなど、世界の名だたる経営者や著名人が受けた教育法として有名です。
日本でも棋士の藤井聡太プロもモンテッソーリ教育を受けたと話題になっていましたので、聞いたことがあるかもしれません。1人1人の「自分でやりたい」という気持ちと、子供が本来持っている力を使って「やりたいことをする」「自分のなりたいものになる」ことを大切にしています。私達はそのお助けや力添えができればと思います。
2つの「じりつ」

モンテッソーリで教えるのは「生活」なんですね。自分の事は自分でする。教室に来たら自分の上着を自分でたたむ。ハンガーにかける。自分で始めたものは、最後まで自分で責任を持つ。はじめ「このおもちゃで遊ぶ」と選択し、自分で好きなように遊んで十分満足し、最後はお片付けっていうところまでがルーティーン。自分のやってることへの責任なんです。

最終目的は「じりつ」ですからね。立つ方の「自立」もそうですし、行にんべんの「自律」も、どちらもできるようになることを目指します。
「見守る」ことの大切さ

水曜日から土曜日は通常の乳幼児教室を行っているのですが、火曜日はフリークラスにしていて、密を避けるため要予約ではありますが、会員さん以外にも気軽に来ていただけるようになっています。
お母さん、お父さん達が子育てで悩んだ時とか、話を聞いてもらいたいな、って時に来ていただければと思って。今は核家族化って多いでしょ。おばあちゃん、ばぁばとして、見守らせてもらえたらと思うんです。
子ども達が困っている時って、すぐ手を出したくなるんですよね。でも、「見守る」ことが大切です。本人が、危ない事を察知する力、それを回避できる力を身につけられるように、子どもを信じて見守る。信じてないと見守れないんです。
だけど、ほったらかしにするのとは違うんです。親がそばについて、見守りながら経験をさせてあげるんです。
子育てってしんどいですよね。でもお父さんお母さん達には「子育てってしんどいけど、楽しいよね」って、そういう気持ちになってもらえればと思っています。
「コドモミライズ」をやっていて嬉しかったことは何ですか?

コドモミライズをオープンして、子ども達と関わることで、毎日子供達に癒されるし、お母さん達からすごい力を、若い力をもらって元気になっています。
それだけじゃなく、年賀状もたくさん書いていただいていて。お母さんたちの言葉からすごく元気をもらっています。
去年7月のプレオープンの時にはたくさんの教え子達が子供を連れてお祝いに来てくれました。
その時の動画を今でも時々見返すんですが、そのたびに嬉しい気持ちになります。
「コドモミライズ」のこれからについて教えてください

まだオープンして1年も経っていないので、まだまだ存在を知られていません。続けていくことで、特にここを必要としてくださるお子さんや親御さんに知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います。
最初の5年を1つの節目と考えているので、この5年でどこまで想いをカタチにできるか。そしてその先は次の世代の人に想いをつなげていきたいと考えています。

「葉っぱのフレディ」(レオ・バスカーリア作)という絵本をご存知ですか?
大きな木の葉っぱとして生まれたフレディが、春夏秋冬を通じて様々な体験をし、同じ葉っぱがないこと、それぞれ違う色に色づいていくことなど様々なことを感じます。最後にバタンと倒れて、雪から春になる時に、自分自身が雪解け水の中に溶けて、次の世代への肥しになるんですね。このストーリーは私達コドモミライズの想いとピッタリだと思っています。
自分は溶けてしまうのだけれど、次の世代のために、自分の力… 今までいろんな方からいただいた力を、肥しを使って、ちゃんと未来の子供達に分け与えるっていうのかな。そういう役割ができたらいいなぁって。将来子供たちが立派な花を咲かせるためのそういう肥やしになりたいですね。
最後に阪神沿線でお気に入りのスポットがあれば教えてください

もうね、好きなところっていうのがたくさんありすぎて(笑)
というのも、長い間大阪市で働いていたんですが、スタートは大和田… 千船の方だったんです。
そのあと野田… 吉野のあたりとか、いろんなところが好きになっていきました。
実習先訪問などでね、阪神電車に乗って、本当にいろんな場所に行ったんですよ。
でも、一番って言ったら、やっぱり自分の住んでいる地元ですね。ここで生まれて育ち、子供も育てていますから。
武庫川の河川敷も近いですし、とてもいい場所です。
今は新型コロナウイルスの影響でいろいろな所へ行くことはできなくなってしまっていますけど、武庫川の河川敷には散歩をしに夫婦でよく行っています。
主人は歩くのが目的ですが、私は野鳥を見たり、お花を見たり、写真をいっぱい撮ったりしています。自然の中で、木から芽がピッと出ているのを見るのが大好きです。
みんなの「ばぁば」

子供を信じて見守る。子育ってってしんどいけど、楽しい。
今回のインタビューを通して、蒲田さんから子育てについて大切なことをたくさん教わりました。
子供達はもちろん、親にも寄り添ってくれる温かい方。みんなの「ばぁば」のような方だと感じました。
インタビュー/チアフルライター 糸(いと)