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Cheer*full Woman
インタビュー

病児・病後児保育の認定NPO法人ノーベル 代表理事高亜希さん

今回のCheer*full Womanインタビューは、病児・病後児専門のシッターサービス『認定NPO法人ノーベル』代表理事の高 亜希さんと、保育スタッフの芦田 三智子さんのお二人。高さんには、某企業の営業マンとして活躍した経歴を持ちながら、なぜ保育サービス事業に取り組もうと考えたのか?そのきっかけと経緯、そして今後の展望を。芦田さんには保育スタッフというお仕事の魅力と余暇の過ごし方についてお話していただきました。

子育てと仕事の両立に悩む女性を「何とかしなければ!」という使命感からのスタート

子育てと仕事の両立に悩む女性を「何とかしなければ!」という使命感からのスタート

10年ほど前、まだ私が民間企業で営業マンとして働いていた頃、女性の先輩社員や同僚たちがどんどん退職していく現状を目の当たりにしたんです。何故なのか?話を聞いてみると、圧倒的に多かった理由が子育てと仕事の両立ができないということ。保育園に預けている子どもが熱を出したから早退しないといけない。熱が続けば会社を休まないといけない。何日も休んで次に出社した時には居場所がない。そんなことが続き退職せざるをえなくなるということがわかりました。結婚して子どもが生まれても保育園にさえ預けられれば良いものだと考えていた私にとって、この現状は衝撃的でした。子どもは当たり前に熱を出す。熱があれば保育園には登園できない。そんなことなど考えたこともなかったんです。このままでは女性は子育てと仕事を両立することはできないと考えた時、〝何とかしなければ!〟と自分で勝手にミッションを感じて(笑)ノーベルの立ち上げを決意しました。とは言ってもこれまでずっと営業畑。何から始めれば良いのか・・・。まずは関東にある訪問型病児保育のNPO団体を訪ね、1年間社会人インターンシップとしてお世話になりノウハウを学んで、2009年『NPO法人ノーベル』を設立しました。
今でこそ保育スタッフが足りないほどにたくさんの方にご利用いただいておりますが、創業当初は保育スタッフの確保も利用者への広報活動も本当に苦心しました。未婚で当然子育て経験もなく、しかも保育の経験もない私に誰が大切な子どもを預けます?(笑)。何で信頼を得るか?1年目2年目は熟考する 日々でした。貯金も底をついてきて、それでもやり遂げたいという思いから前職の先輩たちに相談して広報を見直したり、実務も手助けしていただきながら徐々に会員が増えていったという感じです。初期の頃の会員さんには「何故ノーベルを選んでくれたのか」をヒヤリングし、そこからもヒントを得て少しずつ改善していきました。試行錯誤してようやく軌道に乗りはじめたのは3年目くらいだったでしょうか。それからはお陰様で右肩上がり、順調に成長を続けています。

人が財産。人に支えられ、人で成り立つ仕事です。

人が財産。人に支えられ、人で成り立つ仕事です。

ご利用者様によるアンケートは私にとって宝箱です。「ありがとう」という感謝の言葉や「ノーベルがなかったら働けていませんでした」などのうれしい言葉が並び、それは改善にはもちろん、私やスタッフのモチベーションアップに必要不可欠なものとなっています。「対応がとてもきめ細かくて、子どもも人見知りをすることもなく預けることができました。ノーベルで良かった」「子どもの表情でどんなにのびのびと楽しく過ごせたかがわかります」など、親御さんたちの率直な声は全て心に響きます。この積み重ねが今のノーベルを支えてくれている。そしてそれを創っているのが保育スタッフです。保育スタッフが勤務終了後に記入するフィードバッグシートには、大変なこともいっぱいあるはずなのに、必ず「子どもの笑顔に癒されました」や「子どもが可愛くて楽しく過ごせました」などと書かれています。ノーベルを必要としてくれる親御さんからの感謝の声と、子どもが可愛いからと気持ち良く働いてくれる保育スタッフからの声。この二つがあってこそ病児保育が成り立ちます。ノーベルを始めて良かったと心から思います。

女性が子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会をつくる

女性が子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会をつくる

昨今、常に重要視されている「待機児童問題」や「女性活躍推進」では、その対策として保育園を増やすとか病児保育が足りないという話題になりがちですが、もう少し俯瞰して見ると、本当に必要なのは何かがわかってきます。それはやはり担い手なんです。本当に必要なのは地域の担い手です。あえて〝おばちゃん〟と言わせていただきますが、〝地域を見守るおばちゃん〟をどれだけ増やせるかということが「待機児童問題」や「女性活躍推進」を良化する必須要素だと思います。
昔であれば近所の誰かが見守ってくれていましたが、残念ながら今は地域のつながりの希薄化や家庭の孤立が叫ばれている時代です。じゃあママたちがコミュニティを作れば良いのかというとそれも簡単ではありません。今後私が目指すところは、人と人とが助け合う仕組みをつくり世の中を変えること。それには子育て経験のある人たちの力を借りてその強みを活かすことが有効な手段だと思うんです。
これまで病児保育に携わってきたからこそ言えることなのですが、子育て経験をしている人たちの強さは偉大です。私自身が昨年出産し母となり初めてわかりました。ママってすごいです!この強さと、子どもを育ててきた中で知らぬ間に身についているスキル。この社会資源をみんな見すごしすぎです!彼女たちがもっと活躍できる場所作りをすれば、子育てと仕事の両立の課題だって解決できると思います。私のこの思いをノーベルでカタチにしていきます。子どもを産んでも当たり前に働きつづけられる社会。ちょっとした時に頼れる人がいる。ありがとうを言いあえる人がいる。そんなつながりを生む、あたたかい社会を作っていきます。

子育て経験を活かした社会貢献を!(保育スタッフ芦田 三智子さん)

子育て経験を活かした社会貢献を!(保育スタッフ芦田 三智子さん)

ご利用者様のお宅に訪問し親御さまから引継ぎを受けて、病中病後のお子様をお預かりします。
時間中は親御さんの用意したご飯を食べさせたり、必要であればかかりつけ医への受診にも同行します。お子様との過ごし方は病状によっても変わりますが、基本的には様子をみながら子どもが安心して過ごせる環境をつくり、ゆっくりと過ごします。
私も二人の子どもを保育園に預け仕事を続けてきました。入園した最初の1年目なんて常に病気をしていて、半分くらいしか通えなかったんじゃないかと記憶しています。幸い私は主人の家族と同居しており、職場も近くでしたのでお昼休憩に家に戻って様子を見に行ったりと、比較的恵まれた環境ではありましたが、それでも大変で何度も仕事を辞めようかと考えたものでした。そんな経験があるからこそ、子育てがひと段落した今、子育てと仕事の両立に奮闘する親御さんたちの役に立ちたいと考えました。
娘も息子もすでに成人しており、乳幼児の子育てからはしばらく離れてしまっていますが、これまでの子育て経験が今の仕事にも活かされており、社会貢献にも繋がっているものと思っています。そう思えるようになったのはノーベルで働くようになってからですね。
親御さんは〝これで仕事にいけるという安堵感〟と、〝初めましての人に我が子を預ける不安〟が入り乱れていると思います。きっと複雑な思いもあるでしょう。そんな親御さんたちが安心して仕事に向かえるようにケアすることから私たちの仕事は始まっています。お子様の症状や食事などの確認、好きな遊びや絵本、怖いもの、嫌いなものなどしっかりとヒアリングを行い親御さんを送り出します。病児・病後児ですので、こまめに様子をうかがい変化を見逃さない。怪我をさせるわけにはいきませんから緊張もしますが、子どもはとにかく可愛いくてたまりません。これがこの仕事の一番の魅力ですね。いろんなお子さんがいらっしゃるので毎回変化があり、訪問前はいつもワクワクします。“一期一会”の機会を大事に、楽しい時間を過ごすようにしています。

馴染み深い阪神沿線・親しみやすさと利便性に優れた街“尼崎”(芦田 三智子さん)

ノーベルの仕事はシフト制なので無理には仕事を詰め込まず、休みの日にはスポーツジムに行ったりお買い物に出掛けたりと、自分時間もしっかりと楽しむようにしています。現在は大阪市在住ですが生まれ育ちは甲子園周辺で、今も阪神電車沿線に住んでいます。馴染みがありよく利用しているのは、通っているジムの最寄でもある阪神尼崎駅。駅周辺で何でも揃い、親しみやすさと利便性のバランスがちょうど良い街です。新築マンションも増え、ますます注目のエリアだと思います。ジムのあとには近くの三和商店街に立ち寄るのが恒例。この辺りでは最も大きい商店街で、安くて質の良いものがたくさん!歩くだけでも楽しいんですよ!

2018.06.18活動エリア 尼崎駅

2018.06.18
活動エリア
尼崎駅
Profile
高 亜希(こう あき)・芦田 三智子(あしだ みちこ)

高 亜希(こう あき)
認定NPO法人ノーベル代表理事
関西学院大学商学部を卒業後、 某企業の女性営業として男性社会の中で活躍。2009年、病児・病後児専門のシッターサービス「ノーベル」を立ち上げ、代表に就任。大阪市生まれ。京都市在住。1歳の男の子のママ。
認定NPO法人ノーベル   http://nponobel.jp/


芦田 三智子(あしだ みちこ)
2016年よりノーベルの病児保育スタッフ。西宮市生まれ。大阪市在住。「最近娘が結婚して、今は孫の誕生が楽しみです!」

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この記事を書いた人
福山 静
福山 静

ライター、クルールはんしん版編集長 2010年より、ママライフをもっと楽しむための 応援マガジン「クルール」のはんしん版編集長。 ライティング・編集、イベント企画業務に従事。 兵庫県在住。高校生と中学生の女の子2人の母。

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