HOMEコラム / チアフルライター通信 / 【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

Cheer*full Column
コラム

チアフルライター通信

チアフルライター

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

10月1日は「コーヒーの日」

10月1日は「コーヒーの日」

神戸在住のレトロ好き、チアフルライターのやまさんです。

 

世界最大のコーヒー生産国であるブラジルでは、毎年9月末にコーヒー豆の収穫と出荷が終わり、10月1日にコーヒー生産の新年を迎えます。このことから2015年、世界のコーヒーの生産や貿易に関する協定を協議・実施する国際コーヒー機関(ICO)により、10月1日が「International Coffee Day(国際コーヒーの日)」と制定されました。

 

一方日本では、これに先んじること32年の1983年、全日本コーヒー協会が、毎年秋冬期にコーヒーの需要が高くなることから、コーヒーの普及と魅力の発信を目的に、ICOと同じ10月1日を既に「コーヒーの日」と定めていました。これは世界で最も早い「コーヒーの日」の制定になるそうです。世界各国にはそれぞれ独自の「コーヒーの日」がありますが、ICOが「国際コーヒーの日」を定めたことにより、10月1日が世界的にコーヒーの日として認知されることになりました。以来、10月1日には世界各国で様々なコーヒーイベントが開かれているそうです。日本でも、全日本コーヒー商工組合連合会をはじめ、各コーヒー関係の企業が「コーヒーの日」の普及活動に力を入れています。 

全日本コーヒー商工組合連合会製作「10月1日はコーヒーの日×岩井ジョニ男」動画 

『COFFEE NEW YEAR ! 2021 Instagramキャンペーン』

「みんなのコーヒータイム」を投稿して、岩井ジョニ男から素敵なお年玉をもらおう!

応募期間 2021年9月1日~2021年10月29日

 

というわけで、今回は元町・三宮の喫茶店をピックアップしてご紹介します。

日本初の喫茶店、神戸開港時のコーヒーを復刻した「放香堂加琲」

日本初の喫茶店、神戸開港時のコーヒーを復刻した「放香堂加琲」

放香堂は元々京都で1830~1843(天保年間)年に創業し、松平家の御用商人となった由緒ある日本茶の老舗です。チアフルライター通信のこちらの記事でも紹介されました。ではなぜ日本茶の老舗がコーヒー豆の販売を手がけるようになったのでしょう?1867(慶応3)年、神戸港が開港すると当時の放香堂社長、北儀右衛門氏は早速神戸に輸出商館を設け、日本茶の輸出業を始めるほど進取の気性に富んだ人物でした。儀右衛門氏は居留地の商館でコーヒーのことを知ると、日本におけるコーヒーの可能性を予見したようです。放香堂は日本茶を下ろした寄港地で、空になった茶壷にコーヒー豆を詰め、日本に輸入したと言われています。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

1882(明治15)年に発行された元町のガイドブック『豪商神兵 湊の魁』に残る放香堂の木版画。左の看板に「印度産 加琲 放香堂」とあります。

神戸市史学会藏 神戸市立博物館保管

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

壁面に飾られた『豪商神兵 湊の魁』の木版画。右から日本茶の放香堂、放香堂加琲、加賀九谷焼売捌所と並んでおり、全て北儀右衛門氏が経営する店舗でした。九谷焼の看板の文字は英語で書かれており、人力車や洋装の人物もいてとても興味深いです。当時は店舗内で豆を煎り、往来でゴザの上に広げて冷やしていたため、コーヒーの香りに足を止める人も多かったそうです。

 

1874(明治7)年、放香堂は元町(現本社所在地)に宇治茶の小売店舗を構え、この頃にコーヒー豆の販売と店頭で淹れた飲み物としてのコーヒーの提供を始めます。これは1878(明治11)年12月26日の読売新聞に「焦製飲料のコフィー弊店にて御飲用或は粉にてお求共に御自由」という放香堂の広告が掲載されたことにより、放香堂が日本で最初の喫茶店であることが裏付けられています。三省堂出版の『コンサイスカタカナ語辞典』、東京書籍の平成28年度用中学教科書『新編 新しい社会 歴史』にも同様の記述があります。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

石臼で豆を挽いている様子を見せていただきました。これは放香堂オリジナルのコーヒー豆専用石臼。開業当初、日本にコーヒーミルは存在せず、このように石臼や薬研で豆を挽いていたそうです。電動ミルと違い石臼で挽くと熱を発生しないため、コーヒー豆本来の風味や香りをキープできるという特徴があるそう。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

明治時代はネルドリップやペーパードリップではなく、トルコのコーヒーのようにコーヒー豆を煮出してその上澄みを飲んでいました。これは現在の「フレンチプレス」に当てはまり、放香堂加琲では明治復刻豆「麟太郎」にこの抽出方を採用しています。フレンチプレスはスペシャルティコーヒーのカップ検査でも使用される抽出法で、コーヒー豆本来の風味やコクを味わうことができるのだとか。これは豆を購入して自宅で真似できそうです。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り 開店当初の味を再現したインド産アラビカ種の明治復刻コーヒー豆「麟太郎」

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

1864(元治1)年、神戸に海軍士官の養成機関となる神戸海軍操練所を開設し、神戸港開港のきっかけをもたらした幕末の海軍奉行、勝海舟の幼名から名付けられました。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

元プロサッカー選手中田英寿氏のサイン。

中田英寿氏は、日本各地の文化・伝統・食・ものづくりに直接ふれ、世界に誇れる文化や技術を再発見することを目的に、2009年春から「REVALUE NIPPON PROJECT」という旅企画で日本各地の企業や職人を取材しているそうです。このサインは中田氏が放香堂を取材したときのもの。その時の様子が氏の主催する旅マガジン「NIHONMONO」に掲載されています。マネージャーの武田さんのお話によると、思いがけないような有名人がお忍びでお店を訪れることがあるそうです。

 

余談になりますが、勝海舟の弟子であった幕末の志士坂本龍馬は、文久3(1863)年、勝の私塾である神戸海軍塾の塾頭となり、神戸海軍操練所設立のために奔走しました。ちょうど27〜28歳の頃の龍馬が当時の神戸を駆け回っていたことになります。龍馬が暗殺されたのは慶応3(1867)年11月15日、神戸開港が同年の12月7日。もし明治時代以後も生きていたら、新し物好きだった龍馬のことですから、開港した神戸の町のどこかでコーヒーを飲んだかもしれませんね。

 

喫茶店の元祖にあたる放香堂加琲、ここはコーヒー文化の黎明期、文明開花の味を体験できる場所です。

 

放香堂加琲

アクセス:神戸市中央区元町通3-10-6

阪神元町駅西口からすぐ

電話:078-321- 5454

営業時間:8:30〜17:30

定休日:水曜日

※ コロナのため営業時間が変更になることがあります。

大正5年開業、神戸最古の喫茶店「喫茶フレンド」

大正5年開業、神戸最古の喫茶店「喫茶フレンド」

阪神西元町駅西口から山側へ向かい、JRの高架を潜ると、目の前に「メルカロード宇治川(うじかわ)」という商店街が現れます。その入り口にあるのが「喫茶フレンド」、一見ごく普通の喫茶店ですが、なんとこのお店は1916(大正5)年に開業した神戸で最も古い喫茶店なんです。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

喫茶フレンドがある商店街「メルカロード宇治川」は、平成4年頃に宇治川筋周辺にある6つの商店会が集まって結成されたものです。この商店街の間を走る道路には、元々宇治川と呼ばれる川が流れていましたが、明治初期に暗渠となり、その両側に商店が立ち並ぶようになりました。大正9年に開場した宇治川公設市場もそのひとつです。現在ではジョイエール宇治川という名前に変わり、メルカロード宇治川の一部を構成しています。この商店街には喫茶フレンドと同様に長い歴史を誇るお店がたくさん並んでいます。

 

再度山(ふたたびさん)を水源とする宇治川周辺は古来宇治郷と呼ばれ、明治時代までは宇治野村という名前でした。宇治野村は神戸開港によりやって来た外国人が住むことを許された雑居地のひとつで、現在の神戸女学院大学、同志社大学の先祖となる英語学校もありました。1874(明治7)年に開業した神戸駅にも近かったため急速に開発が進みました。宇治川筋は明治から昭和前期まで神戸随一の金融街として栄えた栄町通の西端に位置し、銀行やホテル、郵便局、電信局といった洋館が並ぶ大変近代的な町でした。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

初代店主津田茂吉さんが宇治川で喫茶店を始めたのは大正5年、以来全く同じ場所で変わらず営業を続けています。現在の店主は4代目の栗山さん。お店を手伝って3年になる娘の松岡さんが5代目を継ぐ予定になっているそうです。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

1952(昭和27)年頃の「喫茶フレンド」。写真にはかき氷やアイスキャンデーの文字が。昔はぜんざいやわらび餅などのメニューもある和風喫茶店スタイルだったそうです。

 

大正・昭和期には、三宮から新開地にわたって大衆喫茶店やコーヒースタンドが雨後の筍のように増え、どのお店もお客さんでいっぱいでした。宇治川筋もまた大変賑やかで、震災前までは商店も多く、喫茶フレンドの裏には銭湯があり、近所には8店舗もの喫茶店があったとか。お店は年中無休、湊川神社詣で帰りのお客さんなどが入れ替わり立ち替わりやって来たそうです。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

パンが美味しいと人気のサンドイッチセット750円。

コーヒーは喫茶フレンドのオリジナルブレンド。店内で豆を挽き、1杯ずつコーヒーメーカーで点てています。3代目まではコーヒーアーンと呼ばれるコーヒーを抽出し保温するタンクのような器具で提供していました。昔ながらの濃いめの味で、ミルクや砂糖と相性が良く、夏はアイスオーレがよく飲まれているそう。豆は喫茶フレンド用の特別オリジナルブレンド。日米珈琲に昔の味と同じになるように配合してもらっているそうです。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

焼きそば(単品)600円&アイス・オーレ420円

鉄板で熱々を出してもらえます。

 

 

「色々と大変なこともあったけれど、喫茶フレンドをずっと見守ってくれ、お店を続けることを応援し続けてくれた地元の常連さんたちがいつもそばにいて支えてくれます」と栗山さん。

 

105年間もの長きにわたり地元に暮らす人々の間で親しまれてきた喫茶フレンド。昔ながらの商店街の中にある、どこか懐かしいホッとするお店です。

 

【喫茶フレンド】

アクセス:神戸市中央区北長狭通8丁目7-10

阪神西元町駅西口からすぐ

電話:078-361-1026

Instagram

営業時間:8:00〜16:00

モーニング:8:00〜11:00

定休日:土日

喫煙:可

※ コロナのため定休日・営業時間が変更になることがあります。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

商店街でこんなポスターを見かけました。「宇治川音楽祭」今月の10月10日(日)10:00〜19:00メルカロード宇治川で開催。今年で7年目のイベントだそうです。ツイッターに出演者の詳細が載っていますが、なかなか面白そうですよ。

 

【前編】10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り

この記事の続きを読む

 

この記事は前編・中編・後編に分かれています。

10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り【前編】(1/3)

10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り【中編】(2/3)

10月1日はコーヒーの日 元町・三宮喫茶店巡り【後編】(3/3)

 

文/チアフルライター やまさん

→ やまさんの過去の記事はこちら

LINE公式アカウントで友だち募集中!

LINE公式アカウントで友だち募集中!

4月にスタートした、HANSHIN女性応援プロジェクトのLINE公式アカウント!

阪神沿線にお住まいの皆さんがもっと暮らしやすく活躍しやすくなるような情報やお得なプレゼント情報などをお届けします。

ぜひ、友だち追加をよろしくお願いします!

友だち追加

 

2021.10.06関連エリア 元町駅 西元町駅

2021.10.06
関連エリア
元町駅 西元町駅

BackNumber 過去のコラム

バックナンバーはこちら

コラム一覧はこちら
インタビュー一覧はこちら

Reccommendおすすめ記事

Project HANSHIN女性応援プロジェクトの取組み

  • 家事おたすけサービス
    家事おたすけサービス

    掃除、洗濯、料理などの家事を忙しいみなさんに代わって行い、女性にひと休みしていただけるよう、支援するサービスです。キャンペーン番号「275」でベアーズの家事代行などのサービスが5%OFF!

  • 子育てシェア
    子育てシェア

    AsMamaが展開する、ご近所の顔見知り同士で子どもの送迎や託児を頼り合う、 インターネットを使った安心・便利なサービスの普及を応援しています。

  • mama’s smile
    KID'S SMILE

    阪神電車と武庫川女子大学の産学連携プロジェクト。子育て中のご家族に役立つ沿線公園ガイド&遊びに関する情報が満載です。

チアフルサポーター募集中

Cheer*full Columnコラム

一覧を見る

Cheer*full Womanインタビュー

「美しさを感じるこころ」から育てたい  (こどもの書道教室 muku+ 河村綾子さん)

「美しさを感じるこころ」から育てたい  こどもの書道教室 muku+ 河村綾子さん

バックナンバーはこちら

公園ガイド

PAGE TOP