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阪神間モダンライフ 生活文化に触れる特別展@武庫川女子大学附属総合ミュージアム

神戸と大阪の間で花開いた、阪神間モダンライフ

神戸と大阪の間で花開いた、阪神間モダンライフ

こんにちは。チアフルライターの國松珠実です。

いかがですか。この緋色に美しい曲線のクラシックなデザインのブラウス。

こちらは「八掛(はっかけ)」という、和服の裏地に使う生地を仕立て直したものです。

 

明治時代より、主に大阪・船場や道修町をはじめとする裕福な商人らが、大阪と神戸の間にある住吉村や御影村などに別荘や、生活の拠点(別宅)を構えるようになりました。

郊外に家族を住まわせ、夫は大阪の事業所に通う、当時としては画期的な生活スタイル「阪神間モダンライフ」の誕生です。

 

そんな生活を送った人々の身を飾った、和服や洋服、使っていた小物類、趣味の作品などの品々を集めた展覧会が開催されています。

武庫川女子大学附属総合ミュージアムで開催中の「阪神間モダンライフ」展です。

女性は一生のうち、どれほどの香水を使うでしょう

女性は一生のうち、どれほどの香水を使うでしょう

これらの香水瓶は、今回の展覧会に数多くの品を寄贈されたS家のご夫人の所有です。

「女性は、一生のうちでどれほど香水を使うのかしら」という好奇心から、使い終えたあとも捨てずに取っていました。

 

香水瓶を眺めていると、「いくつになっても、女性はおしゃれでなくてはね」と教わっているような気持ちになります。

お出かけ時に携帯した、おしゃれな小物たち

お出かけ時に携帯した、おしゃれな小物たち

まだ着物を着る女性が多かった当時。

女性たちの持ち物が展示されたコーナーには、和装でのお出かけ用に携行した小物たちが並びます。

季節の花々が描かれた手鏡、小さな動物をかたどった留め具のついた紙入れ…

どれにも刺繍だったり、華やかな図柄が描かれたりと、愛らしいものばかり。

 

携帯用グラスや携帯用の菓子器(うつわ)からは、ひとつの物を大切に繰り返し使っていた生活ぶりがわかります。

かんじんの婚礼で着られなかった豪華な打掛け その理由は…

かんじんの婚礼で着られなかった豪華な打掛け その理由は…

豪華な打掛は、大正9年にS家の4代目当主夫人が婚礼の際にあつらえたものです。

緑や紫は、当時の流行色だったそう。

緑の打掛には亀甲花菱の地紋に、空へ羽ばたく鶴があしらわれ、紫の打掛には菊や牡丹の花に、アールデコ調の線にデザインされた梅の枝が特徴的です。

 

裾もふっくらと、本当に贅沢な打掛ですが、婚礼が6月と夏の時期だったため着用されなかったそう。

全318件の嫁入り道具のひとつとなりました。

趣味がプロの領域! 阪神間に住む女性らが制作した絵更紗

趣味がプロの領域! 阪神間に住む女性らが制作した絵更紗

大阪の商家は「表」と「奥」とで分けられていたとはいえ、店舗と自宅が一つの建物の中にありました。

つまり商家の夫人は店を切り盛りしたり、住み込みの奉公人さんの世話をしたりと、かなり多忙だったのです。

 

ところが阪神間の生活では職住分離が実現し、自分の家庭を切り盛りしさえすれば良くなりました。

そのうち地域の女性同士のネットワークができ、親睦を深めるための共通の趣味を楽しむ人たちが出てきました。

 

その一つが京都で考案された染色の一つ、絵更紗(えさらさ)です。

その作品一つ一つの美しさと完成度の高さは、もはや趣味の域を超えています。

「甲子園ホテル」ゆかりの品々もお目見え

「甲子園ホテル」ゆかりの品々もお目見え

西宮市戸崎町にある旧甲子園ホテル(現在の武庫川学院・甲子園会館)は、東京の帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの弟子、遠藤新氏が手がけました。

 

とても趣があり、ドラマや映画のロケに使われるほどで、私もいつか見学に行きたいと憧れの建物です。

当時はリゾートホテルとして、また大阪の迎賓館として著名人が多数宿泊しました。

阪神間に住む人々にとっては社交の場として、地元のロータリークラブや婦人会の会場などに利用され、親しまれました。

 

会場には甲子園ホテルの日本語と英語のリーフレットや、葉巻が似合いそうな灰皿などの往時をしのぶ品、また催し物の際に撮影された人々の集合写真が展示されています。

昭和に誕生した「百貨店」も、モダンライフを後押しした

昭和に誕生した「百貨店」も、モダンライフを後押しした

今も主要駅には大きな百貨店がありますが、それができたのは昭和に入ってすぐの頃でした。

複数の店舗がひとつの建物に入る百貨店は、西洋型の近代的なライフスタイルを提案する消費生活の舞台となったのです。

もちろん阪神間に住む人々も、電車に乗り百貨店でお買い物をしました。

S家のコレクションには、百貨店のノベルティグッズや広報誌などの刊行物も多数残されています。

 

戦時中、ある百貨店が、家族の肉声を録音したレコードを戦地に送るというサービスを宣伝する広告もありました。

戦地にも、レコードを再生する機器があったんだと驚くと同時に、一般向けにこのようなサービスが展開されていたのですね。

商都大阪と、外国人が行き交う神戸の間で育まれた「阪神間モダンライフ」

商都大阪と、外国人が行き交う神戸の間で育まれた「阪神間モダンライフ」

明治後期から大正、昭和にかけて、時間をかけて浸透した西洋文化。

その頃は、和と洋を取り混ぜる和洋折衷というより、たとえば赤い屋根のしゃれた洋館に、着物姿の家族が生活するといった二重スタイルでした。

 

大阪に働きに出て住まいは郊外に置くというライフスタイルは、たとえば大阪の帝塚山など他の地域にもありました。

ただ商都大阪と、外国人居留地のあった神戸の間で育まれた「阪神間モダンライフ」は、他と比べてもやはり独特な雰囲気があったのかも知れません。

 

この頃の芦屋を舞台にした小説、谷崎潤一郎の『細雪』を、もう一度読み返したくなりました。

展示概要

展示概要

武庫川女子大学附属総合ミュージアム

2020年度特別展「阪神間モダンライフ」

 

場所:武庫川女子大学 学術研究交流館5階ギャラリー

兵庫県西宮市池開町6-46

入場料:無料

会期:2021年3月8日(月)~4月28日(水)

閉館日:土・日・祝日、3月31日

※全点写真撮影可

 

文/チアフルライター 國松珠実

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