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近畿にわずか3ヶ所! 石田鶏卵のレトロ自販機@深江

モータリゼーションの波に乗ったドライブインとスナック自販機

モータリゼーションの波に乗ったドライブインとスナック自販機

チアフルライターのやまさんです。

1960年代、東京オリンピックを機に全国の道路網の整備が進み、若者やファミリーが車やバイクでドライブやツーリング、ピクニックや海水浴、旅行にでかけるようになりました。

モータリゼーションという言葉と共に道路には車が溢れるようになりました。

車での行楽客の需要に応えるように、道路沿いのあちこちには雨後の筍のごとくドライブインが立ち並び、中には「コインスナック」「オートパーラー」などという名前で自販機が並べられた無人の店舗も数多くありました。

当時自販機には様々な種類があり、今でもよく見かける缶ジュースやカップめん、菓子類以外に、ほかほかのハンバーガーや生麺を使用したラーメン、うどんやそば、カレーライス、果てはお弁当を提供する自動販売機も多く設置されていました。

そういった自販機は道路沿いだけでなく、フェリー乗り場やプール、ボーリング場、スケート場などの娯楽施設でもよく見かけられました。

子供時代にそんな自販機を利用したことを覚えている方もいるでしょう。

今回訪れたのは、今では数少ないレトロ自販機が今も現役で稼働している石田鶏卵さんです。

工業地帯、深江浜町

工業地帯、深江浜町

朝、阪神深江駅から深江大橋を渡り、人工島である深江浜町方面へと歩いていくと、自転車に乗った勤め人、従業員を満載した送迎バス、大型トラックやコンテナ車とすれ違います。

昭和44年に作られ、約50年の歴史を持つ人工島深江浜町は三井製糖、日本製粉、キユーピー、マ・マーマカロニなどの有名企業の他、ここ深江浜を拠点とする東洋ナッツやレトルトパウチ食品で有名なエム・シーシー食品などの工場が一堂に会する、関西有数の食品製造業の本拠地の一つとなっています。

念願のレトロ自販機と対面

念願のレトロ自販機と対面

正式名「富士電気めん類自動調理販売機」

現在近畿圏で現役稼働している麺類の自販機は石田鶏卵、京都府舞鶴市にある「ドライブインダルマ」、兵庫県香美町にある「コインスナックふじ」のわずか3ヶ所だといいます。

やまさんは10年ほど前にネットに上がっていた「懐かし自販機」というシリーズ動画でこういったタイプの自販機の存在を知りました。

阪神圏では唯一稼働しており、しかも電車で行ける場所にあるということで一度見てみたいと思っていましたが、今回やっと対面することができました。

昼の12時を過ぎるとお客さんがひっきりなしにやってきて、お弁当やお茶を買っていきます。

自販機でうどんやそばを買って食べる人も。

40年前に自販機を置いた当初は毎日200食もの売り上げがあったそうです。

「以前は目の前にダイエーの配送センターがあったんでその従業員や配送トラックのドライバーがよく買ってくれたんです。夜は配送センターの業務が止まるんで、荷物の出庫待ちのトラックがここの前に夜中でも列を作っていてね」と、石田鶏卵のご主人。

今でも1日に50食は出るそうです。

マニア垂涎の秒数カウンター、ニキシー管

マニア垂涎の秒数カウンター、ニキシー管

レトロ自販機最大の醍醐味は、うどんやそばが出来上がるのを待っている間にあります。

このニキシー管という秒数カウンターは1950年代から90年代まで製造されていました。

今もこの味のあるカウンターはマニアの間で人気です。

卵の卸売業者が始めたコンビニ 深江浜で働く人々の需要に応える

卵の卸売業者が始めたコンビニ 深江浜で働く人々の需要に応える

石田鶏卵さんの本業は卵の卸売りです。

尼崎から神戸市一帯にかけて卵を卸しているそうです。

「当時はコンビニがなくてね、『煙草を置いてほしい』と言われて最初は煙草だけ。そのうちあれもと要望に応えていたら、事務所だったスペースがどんどん商品でいっぱいになって。軒先貸して母屋取られるみたいになったんです」

以前はお弁当やおにぎりの自販機もあったそうです。

缶ジュースやカップ麺と違い、うどん・そば自販機の補充にはとても手間がかかります。

プラスチックの丼に麺や具材を入れて螺旋状のホルダーにひとつひとつ装填するのはお店のご主人の仕事です。

さらに出汁の入ったボトルも補充。

動画を見ていると、自販機によって麺や具材の種類、出汁の味は様々で個性的。

日々のメンテナンスも必要です。

お客さんのことを思う気持ちがないと、こういった手の混んだタイプの自販機の維持はとてもできません。

うどん、そば、どちらも1杯230円。

破格の値段です。

購入したうどんはお店の前のテーブル席で食べることができます。

コンビニのなかった頃、特に寒い時期の深夜には、トラックの運転手さんや夜勤の従業員の方にはこういった温かいうどんやそばが食べられる自販機の存在はとてもありがたかったでしょう。

お店のカウンター前では石田鶏卵さんのゆで卵も売っています。

「前はなあ、ここの他にも2ヶ所こんな店があったんやけど、コンビニが増えたんで辞めてもうたんや」「時々来よるで。コンビニで買うよりここ(うどん自販機)で買う方が安いやろ」と常連さん。

 

近畿にわずか3ヶ所! 石田鶏卵のレトロ自販機@深江

深江浜在住のトラックドライバーさんと相棒のオキナインコ「船長」さん。

トラックドライバーには犬や猫などの相棒を連れている人が多いとか。

 

近畿にわずか3ヶ所! 石田鶏卵のレトロ自販機@深江

龍のたまご。

黄身が濃いそうで、割ってみると赤に近いオレンジ色。

餌にこだわっています。

税込350円

普通の卵はMサイズ130円、Lサイズ140円。

小売りもしています。

レトロ自販機のメンテナンス問題

メーカーである富士電気は平成7年にこのタイプの自販機の製造を終了しました。

機械が故障しても部品が入手できないので、倉庫に置いてある予備の自販機から部品を抜いて使ったり、予備の自販機と入れ替えたりしてなんとかしのいでいるといいます。

うどん自販機はつゆの塩分のため5年も使用すると内部が痛んでダメになるのだそう。

「機械のメンテナンスができる人がいたんですが、その人も3年前に引退してしまって困ってるんです」

レトロ自販機の維持はますます困難になってきているようです。

全国からレトロ自販機のファンが訪問

全国からレトロ自販機のファンが訪問

レトロ自販機は2015年にNHKの「ドキュメント72時間」で取り上げられ、全国的に認知されるようになりました。

希少な自販機ということで、石田鶏卵さんにも全国からうどん自販機を訪ねてくる人がいるそうです。

「時々取材に来られますよ。4年前にはMBSの「ちちんぷいぷい」が、去年はサンテレビ、今年の1月には神戸新聞が来ましたね」

深江浜で働く人達の胃袋を支えてきた深江浜町のオアシス石田鶏卵さんのレトロ自販機、そして今では数少なくなった個人経営のコンビニエンスストア。

機会があったらぜひ訪ねてみてください。

夏休みの自由研究にもいいかも。

【おまけ】炎天下で働くワークマンの味方、空調服

【おまけ】炎天下で働くワークマンの味方、空調服

取材の帰りに深江駅の改修工事をしている作業員さんたちに遭遇しました。

この不思議な服、これは空調服といって中に2つのファンとモーター・バッテリーが仕込まれた対酷暑作業服なのです!

服の中を風が通って体温の上昇を防ぎます。

話を伺ったところ、とても涼しいそうです。

価格も出た当初は2万円位だったのが今では1万円を切るようになったとか。

阪神電車はこういう炎天下でも一生懸命働いている人々に支えられているんですね。

【石田鶏卵】
開店時間:6:00~20:00
自販機:24時間
阪神深江駅から徒歩20分、または神戸市バス30系統で東部市場前下車すぐ

[参考]
懐かし自販機シリーズ「石田鶏卵 めん類自販機天ぷらうどん 兵庫県神戸市」(YouTube
『昭和懐かし自販機巡礼』 魚谷祐介著
『ドライブイン探訪』 橋本倫史著

文/チアフルライター やまさん
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