

阪神間のさまざまな分野で活躍するビジネスパーソンが、子育てについて熱く語る「パパさんインタビュー」。第5回のゲストは「出張鮨(ずし) 須澤」の須澤宏光さんです。
ジャズを中心に演奏する20人編成のビッグバンドを主宰し、自身もトロンボーン奏者という異色のすし職人です。
職人として梅田の老舗すし店「月ヶ瀬」で10年の経験を積み2014年6月に独立。「出張鮨 須澤」を立ち上げました。現在は、ホームタウンの芦屋を中心に近畿エリアのパーティーなどへ出張して、自慢のすしを提供しています。
家庭では、小学3年生になる女の子の父親。奥さんも経営者というW起業で家計を共に営んでいます。そんな須澤さんのワーク&ライフスタイルについてお話を伺いました!
W起業という新しいワークスタイル


私たち夫婦は2人とも起業して事業を営んでいます。私はすし職人で、妻はデスクワーク中心の仕事。以前の私は、実家が経営する梅田のすし店で働いていました。勤務は週6日。5時に市場へ仕入れに行き、少し休んでから家を出るのが9時半。昼から夕方、夜にかけて店に立ち、帰宅は早くても23時半、遅ければ終電で1時半に帰宅するという毎日でした。
こうした環境では、家族と会話する時間がなかなか取れませんでしたが、起業してからは生活が一変しました。現在は、週末を中心に月の約半分が仕事。自由な時間を作りやすい自営業は、いろいろな意味で融通を利かせられるところが、店に勤めていた頃と圧倒的に異なります。
妻は私より早く2011年に起業。忙しくしながらも同じく自由な時間を持ちやすいところがあり、2人のワークスタイルがうまくかみ合ったことで、夫婦の会話や家族で過ごす時間を大幅に増やすことができました。
コミュニケーションは「深さ×時間」ですから、単に時間さえ増やせばいいというものではありませんが、以前はコミュニケーション不足が原因で小さく衝突することもあっただけに、こうした時間を増やせたのはうれしいことです。
夫婦の土台を作る3つの言葉


夫婦関係で大切にしているのが「好き」「ごめん」「ありがとう」の気持ち。そして、それらの気持ちを言葉でしっかり伝えることです。
「ごめん」には、負の感情や状況をプラスとはいわないまでもゼロまで持っていく力があります。「ありがとう」は、妻が元気でいることへの感謝とともに、妻の全てに感謝している気持ちをまっすぐに伝えることができます。
3つのうち、最も大切な言葉が「好き」。どんなに優れた商品でも、魅力がしっかりと伝わらなければ売れないのと同じで、「好き」という感情も言葉にすることで初めて意味を持ちます。「好き」「好き」と繰り返し伝え続けることが大切ですね。
男女のやりとりでよく「言ってくれなきゃ分からない」というフレーズを耳にしますが、これって本当にその通り。私はタイミングなど気にしません。妻が毎日のように聞かされてわずらわしくなったとしても、聞かされ続けていたら悪い気はしなくなってくるはずです。夫婦とはいえ他人同士の生活では、お互いに不満を持つこともありますが、3つの言葉を潤滑油にすればギスギスすることも少なくなり、やがては夫婦の土台となる「精神的な信頼」が築けます。
夫婦の間で大切な話というと、家事の分担やお金の問題、育児の方針などが挙げられますが、これらは土台の上に立つ「上物」に過ぎません。上物も立派な方がいいですが、「土台」が揺らげばせっかくの上物もガラガラと崩れてしまいます。夫婦で歩む道のりは決して平坦ではありませんから、何らかの試練を二人で乗り越えようとするときには、土台があってこそ乗り越えられるものだと考えています。
ハッピーの原動力「好きを仕事に」


私は「家族のために…」という言葉を好きになれません。もし自分が子どもなら、親から「家族のために嫌でも仕事を頑張る」と言われてもうれしくないし、「やりたくないならやめて、やりたいことをやればいい」と思ってしまいます。
だからこそ、「好き」を仕事にしていたいですね。「好きなことをやってその結果、家族がハッピー」を目指したいです。私は(妻も?)サラリーマンが務まらず、好きなことで起業しました。組織に属して制限される・・・・・・という働き方が合わなかったんですね。だから娘も型にはめようと思いません。
そのためには、娘にもまずは好きなことを見つけてもらう。それから好きなことを仕事にして、お金を稼いでもらわなければと考えています。昔は、「好きなことで飯が食えるほど世の中は甘くない」といわれていましたが、世の中が変わった今ではそうともいえません。
娘はマンガを描くのが好きで、しょっちゅう描いていますが、コマ割りやデッサンは苦手に見えます。コマ割りやデッサンが苦手だと、マンガは上達しないかもしれません。だからといって、それを「将来のために・・・・・・」などと押しつけるのではなく、やりたいようにさせています。マンガを例に挙げましたが、普段の生活でも「他人に失礼なことをしない」「他人と自分の身に危険が及ぶようなことはしない」という二つの約束事さえ守っていれば、ほかは縛らず自由に振る舞わせています。
とはいえ、そんなに小難しく考えているわけではなく、要は私や妻が楽しそうに生きていれば、それを見習って子どもも楽しく生きたいと思うようになるだろうということでしょうか。これからも親子の時間を妻とともにできるだけ共有していく中で、娘は娘なりに好きなことを見つけていってほしいですね。


須澤宏光 1976年生まれ。大阪府豊中市出身、芦屋市在住。
同志社大学商学部卒。大手飲食店で店長を務める。退職後、実父が経営する梅田の老舗すし店「月ヶ瀬」で10年の経験を積み、2014年に「出張鮨 須澤」を立ち上げ独立。芦屋を中心に近畿エリアに営業を広げる。プライベートでは、ジャズを中心に演奏する20人編成のビッグバンドを主宰。自身もトロンボーン奏者という異色の鮨職人。
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