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【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

震災後いち早く製造され復興の牽引役となった5500系

震災後いち早く製造され復興の牽引役となった5500系 震災後いち早く製造され復興の牽引役となった5500系

神戸在住、レトロ好きチアフルライターやまさんです。

「阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう」の後編スタートです。

 

【前編】はこちら

【前編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

 

写真:尼崎駅に停車中の5500系リノベーション車両

 

後編では1995年以降に導入された新型ジェットカー、そして現在の大阪梅田駅の様子をご紹介します。

 

5500系は当初旧来の青胴車5151形・5261形・5311形の代替車両として計画されていました。しかし、1995(平成7)年の1月に阪神淡路大震災が発生、青胴車のうち8両が被災し廃車となったため、当初の予定を前倒しして同系の2編成8両が製造され1996(平成8)年1月に営業運転を開始しました。「震災を乗り越えて新たに出発する」という願いを込めて、上部にアレグロブルー、下部にシルキーグレイの新塗装が採用され、合計9編成36両が製造されました。2016(平成28)年度より5500系のリニューアル工事が施され、上のようなラピスブルーとモダングレーのカラーリングに変更されました。

 

※阪神電鉄の車両形式は「系」で統一されている他社と違い、「形」と「系」の2種類が混在しています。これは、種類の違う車形同士の混結が可能だった従来の「形」に加えて、同一系列内のみで編成を組む前提で設計された「系」が1983(昭和58)年から新たに運用を開始したからです。現在、普通車両では青胴車は全て「形」、震災以降に製作された5500系、5550系、5700系は「系」となっています。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

写真:武庫川線武庫川駅

 

2020(令和2)年の6月に赤胴車が引退したことにより、5500系のうち8両が武庫川線の専用車両に置き換えられました。置き換えに際し、車両は2両編成のワンマン運転仕様に変更され、武庫川線が甲子園の近くを走っていることから、車体のデザインも「野球」をテーマにしたものへと一新されました。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

「甲子園号」に転用された5514・5914。阪神甲子園球場をテーマとした車両デザインになっています。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

女性タイガースファンをテーマとした「TORACO号」には5911・5511が転用されました。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

「甲子園号」「TORACO号」のほか、5913・5513が阪神タイガースをテーマとした「タイガース号」へ、5912・5512が阪神タイガースのマスコットキャラクター「トラッキー」をテーマとした「トラッキー号」へ変更されました。

 

ところで、5500系車両を撮影している時に気づいたのですが、先頭の行先表示が目で見た通りに写らず縦縞が入ってしまうのです。調べてみると、これは行先表示ディスプレイにLED(発光ダイオード)が使用されているから。LEDの表示は実は人の目に見えない速度で点滅していて、その表示は一斉に点滅するのではなく、点灯する列がテレビの走査線のように縞状に移動していくからなのだそうです。そのためカメラのシャッタースピードが速いとその点滅が写り込んでしまうのだとか。甲子園号とTORACO号の写真を見比べてみてください。普通のシャッタースピードで撮ったのが甲子園号、シャッタースピードを落として撮影したのがTORACO号です。人間の目って意外と騙されやすいんですね。思わぬ発見でした。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

写真:西宮駅に停車中の5550系

 

5550系は5500系のマイナーチェンジ車として2010(平成22)年に登場しました。製造後年数がまだ浅いため、カラーリングの変更は行われていません。

初のブルーリボン賞を受賞したジェットシルバー5700系

初のブルーリボン賞を受賞したジェットシルバー5700系 初のブルーリボン賞を受賞したジェットシルバー5700系 青胴車から置き換え予定の普通車両ジェットシルバー5700系

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

2015(平成27)年に導入された普通用車両5700系(ジェット・シルバー5700)。現在4両編成7本の28両で運行されています。

 

本車形は2016(平成28)年に「鉄道友の会」が選定する「ブルーリボン賞」を受賞しています。5700系車両が、普通用車両5000系・5500系(ジェットカー)の高加減速性能を継承しつつ、最新技術を導入し、旅客サービスの向上による「人へのやさしさ」と環境負荷物質の低減による「地球へのやさしさ」の追求をコンセプトに開発されたことが高く評価されたのがその受賞理由です。「ブルーリボン賞」は、1958(昭和33)年に制定された賞で、鉄道友の会が毎年1回、前年に日本国内で営業運転を開始した新造及び改造車両の中から、全会員の投票結果を基に、選考委員会が利便性や快適性・環境対応・新技術の有効活用などを評価し、最優秀と認めた車両に対し贈られる賞です。

 

また、1998年11月、2015年11月に放映された『ザ!鉄腕DASH!!』という番組の「TOKIO vs 阪神電車 リレー対決」というコーナーで、5500系と5700系が、TOKIOのメンバー5人と250m競争を行い、全国的に阪神電鉄のジェットカーが知られることになりました。5500系・5550系・5700系ともに起動加速度は4.0km/h/s、減速度は4.5km/h/s。以前には京阪2000系「スーパーカー」、近鉄の6800「ラビットカー」という高加減速車が存在しましたが、現在ここまでの高性能を誇る車両は国内でもジェットカーのみです。青胴車が引退しても、こうした新型のジェットカーがこれからますます活躍してくれることでしょう。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

写真:5700系車両には立ち座りのしやすい「ちょい乗りシート」が導入されています。これは、座面が他のシートより30 mm高く、前端部を少し前に傾斜させることで、立ち座りしやすいように配慮された座席で、平均1.0kmと駅と駅の間が短い阪神間を短距離移動する乗客がスムーズに電車を乗り降りすることができます。実際に座ってみると、左の座席よりやや前傾座りになるので、スッと素早く立ち上がることができます。これに加え、湾曲した握り棒(スタンションポール)・座席中間仕切りが設置され、さらに立ち座りが容易にできるよう工夫されています。これも人へのやさしさを配慮した5700系の特徴です。

終点大阪梅田駅に到着

終点大阪梅田駅に到着 終点大阪梅田駅に到着

やまさんの乗っていた青胴車が大阪梅田駅に到着しました。そこで外から車両を見てみることに。すると5017・5018・5019・5020の4車両で梅田まで運ばれてきたことがわかりました。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

改めて眺めてみると、昭和レトロの面影が残る素敵な車両です。近い将来この車両にも二度と乗ることはできなくなるんですね。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

写真:“たいせつ“がギュッと。のハートマークの上の金具は行き先を書いたプレートを掛けていた「行先標(サボ)掛け」。現在は使用されておらず、貫通扉上部に設置された方向幕に行き先を表示しています。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

せっかくですからちょっと梅田駅も見てみましょう。阪神大阪梅田駅名物ミックスジュース。1969年創業です。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

2016年3月から改良工事が続いていた大阪梅田駅。かなり綺麗になりましたね。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう

これは昨年の10月30日から新たに運用が始まった新1番線ホーム。梅田駅の改良工事概要図によると、現在使用されている3番線が廃止され、ホーム2面を拡幅、新たに1番線ホームを作ることでホーム数は変えずにホーム全体を広げる計画のようです。このほかにもホームにはホームドアを整備し、西改札口側にエレベーターとエスカレーターを新設、バリアフリー化が図られるそう。今のところ新1番線ホームは本格稼働しておらず、昼間はこのように稼働していません。構内工事の完成は2024年の春頃になるそうです。

 

【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 【後編】阪神電鉄最後のレトロ車両、青胴車で行こう 大阪梅田駅に掲示されている完成イメージ。

 

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「考え事は青の中で、梅田の路上ライブはオレンジに揺られて向かった。」

西宮市出身のミュージシャン、あいみょんさんのツイートが梅田駅に掲示されていました。学生の頃に何度も阪神電車に乗っていたんですね。今年の11月5日には甲子園で彼女の弾き語りライブが開かれるようです。

結局現在運用されている青胴車は何両?

結局現在運用されている青胴車は何両? 結局現在運用されている青胴車は何両?

6月中にやまさんが確認できた青胴車は5001-5004、5005-5008、5013-5016、5017-5020の4編成、合計16両でした。そのうち1日に稼働しているのは3編成12両のようです。上の写真は尼崎車庫。ほとんどわからないと思いますが、写真の右端、手前の電柱と奥の建物の間にちょっとだけ青胴車が見えています。この日見ることができたのが5001-5004、5013-5016、5017-5020でしたから、あそこで休んでいるのは5005-5008でしょう。関係ないですがこの写真、線路を渡っている4人の作業員の方の様子がビートルズの有名な「アビイ・ロード」のジャケットみたいですね。ジェットカーが誕生して64年が経ち、昭和・平成・令和と45年もの間、走り続けてきた青胴車もまもなく引退を迎えます。皆さんも阪神電車を利用する機会があったら是非青胴車にも乗ってみてくださいね。

 

※記事公開の2022/6/30時点で、5005-5008はすでに廃車となっており、残っている青胴車は5001~4、5013~16、5017~20、5025~28の4編成となっています。

 

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【参考】

『阪神電鉄のひみつ』PHP研究所

Wikipedia 阪神5001形電車(初代)、阪神5101形・5201形電車、阪神5231形電車、阪神5151形電車、阪神5261形電車、阪神5311形電車、阪神5500系電車、阪神5550系電車、阪神5700系電車

移動等円滑化取り組み計画書 阪神電気鉄道株式会社 2020/6/25

梅田駅の改良工事を実施(3月3日着手)します 阪神電車 NEWS RELEASE 2015/2/12

普通用車両5700系(ジェット・シルバー5700)が、「ブルーリボン賞」を受賞!阪神電鉄HP 2016/5/24

 

文/チアフルライター やまさん

やまさんの過去の記事はこちら

 

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