今回のCheer*fullWomanインタビューでご紹介するのは、「世の中に愛の波紋を拡げる」ことをビジョンに掲げ、空間のプロデュースや大切な人へのおくりもののサービスを展開している「ハモン」の共同代表、新美早紀さんです。
ハモンは、世界でたったひとつの写真展の空間を大切な人へおくることができる「おくりもの写真展」やその方の魅力を写真と言葉で表現する本「おくりものブック」など、想いのこもったサービスを提供しています。
水の一滴が水面に波紋を拡げていくように、一滴の愛が周囲に優しい気持ちを拡げ、幸せな気持ちで世の中を満たしていく仕事……とはどのような仕事なのでしょうか。始めたきっかけや仕事に対する想いなどをお聞きしました。
この仕事を始めたきっかけは?
映像に興味があり、大学では映像やメディアを学んでいました。将来は、テレビ局や広告代理店などへの就職を考えていたのですが、ある時「自分は本当に映像が好きなんだろうか?」と、自分の気持ちと向き合わざるをえない時期がありました。壁にぶつかったんですね。
考えるうちに、自分が本当に好きなのは「誰かの想いを映像で表現して、その想いが届いた先の相手の喜ぶ表情を見ること」だと気づいたんです。私がやりたいのは映像そのものではなく「映像を使って、想いを届けるお手伝いをすること」。そう気付いた瞬間に迷いが消えました。
そんな想いを抱きながら就職活動をしていた時に当時出会ったのが、ハモン共同代表の松村佳依が起業し手がけていたギフトウェディングでした。挙式のできなかった2人に、周囲がサプライズでプレゼントするギフト型結婚式。一生の思い出をプレゼントするサービスで「映像以外にもこんなに素敵な想いを届ける方法があるんだ」と感じ、これを仕事にしたいと思い、私から松村に連絡をしたのがきっかけです。
その後、関西へ越した松村と2人で「ハモン」を立ち上げました。「ハモン」とは「波紋」。文字通り、大切な相手に想いや愛を伝え「世の中に愛を波紋させる」、そして世の中の幸せの総和を増やしていこうという想いを込めています。
想いや愛を形にする仕事とは?
2人で起業する時、改めて何をコンセプトにサービスを提供していくか話し合いました。先ほどお話したように「想いを届ける」ことを大切にするとは決めていたのですが、それ以外に「日本人は自己肯定感が低く、そのせいで幸せ度が落ちている」という課題感があり、そこにもアプローチしたいと考えていたんです。想いを届けることでまわりの誰かを幸せにすることはできるけど、それだけでなく、その方自身も、とびっきり幸せになってほしいなって。そのためのキーワードのひとつが自己肯定感なのではないかと。そのような考えから「自分の人生を愛おしいと感じられる体験を提供する」という軸を加え、2つを両輪に事業を展開しようと考えました。
それで生まれたのが「おくりもの写真展」や、「おくりものブック」です。
おくりもの写真展は、写真展の空間自体がギフトになった全く新しいサービスで、お相手のためだけのオリジナルな写真展の空間を創り、その中で感謝を伝えていただくことができます。家に眠っている古いアルバムに挟んでいる写真から、最近スマホやデジカメで撮った写真まで、どんな写真でも特別サイズにして展示することができ、誰でも実施可能です。依頼者様ごとに、インタビューを元にしたコンセプトを設計しており、そのコンセプトに沿って厳選した写真とメッセージを展示していきます。
おくりものブックは、写真展と同様に依頼者様のインタビューを元にコンセプトを設計し、写真とメッセージを織り込んでつくる世界に一冊の想いを届けるオリジナルブックです。
それぞれ、結婚記念日の親御さんへ、ママ一歳の記念日に妻へ、など様々なシーンでご利用いただいています。
実際に私も両親へ写真展をおくりました。この動画はその時の様子です。
制作は、依頼者様へのインタビューから始めます。どういう想いを相手にプレゼントしたいかを、丁寧に聴いていくんです。そこからコンセプトを作ります。私たちが大切にするのは、写真展やブックを見終わった後に、その方が自分の人生をどう捉え感じるか。そこに心の豊かさが生まれるポイントがあると思っています。そのためにはどんなメッセージを伝えれば良いか、そのコンセプトを明確にします。そこから、飾る写真や会場の雰囲気、レイアウト、流す音楽などをイメージしていきます。
たとえば、旦那さまから育児をしている奥さまへ写真展をプレゼントするなら、「これまで奥さまが家族のためにしてきたことを教えてください」と質問します。正解がなく、やるのが当たり前であると捉えられがちで、感謝の言葉をもらったり褒められたりすることのない育児や家事。家族のために一生懸命な奥さまの頑張りを可視化することで、奥さまが自分を客観視し、「自分はこれだけ頑張っていたんだな」と、いい意味で自分を称え、ほっと安心を感じていただくことを目標として、一番近くで奥さまのことを見ている旦那さまから、奥さまの日々の頑張りを教えていただきます。旦那さまからの言葉や、写真素材を元に写真展の内容を形にしていきます。
良かったと思うことは何ですか?
お客さまの「自分の人生の見方が変わる瞬間」に立ち会えることです。
印象に残っているのは、娘さんが結婚記念日の親御さんへプレゼントされた写真展。専業主婦のお母さまに「私は結婚して子育てして、まったく平々凡々の人生を歩んできたと思っていたけど、自分の人生をとても気に入っていることに気づきました」とおっしゃっていただいたことです。この言葉を聞いた時、お母さまの自分の人生に対する捉え方が少しでも明るい方向に変わっていると感じられ、まさに、私たちのゴールである「人生を豊かにする」を実現できた思いでした。本当にうれしかったですね。
今後の目標や挑戦したいことを教えてください
事業を開始して1年半で、30件ほどお客様の想いを届けるお手伝いをさせていただきました。今はまだ口コミが中心ですが、広報に力を入れてより多くの方に「ハモン」を知っていただきたいと思っています。また、おくりもの写真展やおくりものブック以外にも、様々な形で同様の価値を届けられるようサービスを展開予定です。
「自分の人生は素晴らしい」と今の自分や過去の人生を肯定できれば、未来も希望を持って歩んでいけると思うんです。それが実現できるよう、コンセプト作りを行います。これからも、不安なニュースが多い時代だからこそ、どんな状況でも人々が希望や安心を感じられるよう、「自分の人生を愛おしいと思う体験」を作っていきたいですね。
休みの日は何をしていますか?
これといった趣味がなく、その時に興味が湧いたことや、やってみたいと思ったことをしている気がします。知人に誘ってもらいランニングやヨガをしてみたり、ふと、人間ってどうやってできたんだろうと急に気になりだして、歴史を勉強してみたり笑
あとは、人間観察も好きです。たとえば電車内で、目の前に座る人はどんな生活をしていて今何を考えているんだろう、など妄想をふくらませることもよくあります。こういった仕事をし始めてから、より他の人がどんな人生を生きてきて、どんなことを感じているんだろうと気になることが多くなりました。
最後に、阪神沿線のお気に入りスポットを教えてください
ありきたりかも知れませんが、三宮の街が大好きです。カフェ巡りのために街を散策していても、緑豊かな六甲山や海が望めます。おしゃれな都会の街中から自然も見渡せる場所は全国でもなかなかないと思います。実は神戸には素敵なギャラリーが多く、おくりもの写真展のお客さまも、神戸を会場に選ぶ方が多いんです。
共同代表の松村は、阪神間の出身で阪神電車ユーザー。特に梅田から神戸三宮に向かう途中、西宮を過ぎる辺りから六甲の山々が車窓に広がり、新緑の季節は清々しく感じると言います。おすすめの駅は「芦屋」で、芦屋川にかかる駅の周辺はオシャレなお店も多いし、川辺でお弁当を食べたらとっても気持ち良いと、お気に入りだそうです。
余談ですけど、阪神の駅名はおもしろい読み方が多いですね。これ、「おおもの」って読むんですか?
インタビューを終えて……幸せを伝える人でした
「あの……それ大物(だいもつ)です」と思い切って言うと、はにかみながら笑う新美さん。この仕事は「親のために」「妻のために」と、大切な相手に想いを伝えたい人が依頼してくださるので、人の愛や感謝に満ちたあたたかい世界にずっと触れていられる。それが魅力だと語ってくれました。
「そのためか、私たちもずっとあたたかい気持ちでいられます。本当に幸せな仕事だと思います」と、瞳を輝かせる新美さん。お話を伺う私たちも幸せな気持ちになれました。
インタビュー/チアフルライター 國松珠実
[参考]
ハモン
コーポレートサイト:https://hamorn.com/
おくりもの写真展:https://photo.hamorn.com/
共同代表: 新美早紀 松村佳依
事業内容:
1.おくりものの企画・開発
2.婚礼のプロデュース
3.映像の撮影・制作